君がいない世界で生きるために
……ガキだな。
黒髪が頭を抱えている。
赤髪は私たちにしっかりとヒントをくれた。
そのことにすら気付いていないのだ。
黒髪は恐らく、なんのヒントも与えずに、私たちを追い返す算段だったのだろう。
黒髪には腹が立つが、赤髪には呆れたものだ。
私は嘲笑される中で、新城を見た。
とうの昔に限界を超えていた新城は、その場に座り込んでいる。
「……こんな仲間と切って正解だな」
それは新城に言った言葉でもあり、周りの馬鹿にしてくる奴らに言った言葉でもある。
空気が凍り、私には憎しみの篭もった視線が集中する。
「……たとえ咲乃の大切な人でも……俺の仲間を侮辱するのは、許さない」
絞り出されたような声で、新城は言った。
「その仲間にボロボロにされているではないか」
「それは……俺が、悪かったから……」
「わかっていて、なぜ私をここに連れてきた」
新城は俯いて答えない。
私は黒髪を見て、その近くにいる奴らを見る。
「お前たちは新城のなにを見てきた。新城の気持ちを汲んでやることもできないのか?」
全員押し黙る。
「……隼人」
最初に口を開いたのは、赤髪だった。