君がいない世界で生きるために
……が、自分で電話するという手段がある。
問題はない。
「気にするな。今日の情報も楽しみにしている」
そして私は不服そうにする佑真を送り出した。
再び部屋に戻り、スマホを手にした。
大量の咲乃の写真を見ようと指が動いたが、先に学校に連絡した。
欠席理由は腹痛。
当然、仮病だ。
電話を切ると、そのまま咲乃の写真を見る。
眩しい笑顔から物思いにふける顔まで。
半数以上が隠し撮りだ。
次第に画面が歪んでいく。
拭わずにいたら、涙が頬を伝った。
「なんでいなくなったんだ、咲乃……」
知りたくても知ることが出来ない。
なにか知っているかもしれない、原因になったかもしれない、咲乃の彼氏だった暴走族のトップには会えない。
写真くらいあるかと思ったが、咲乃の両親が消去していた。
聞こうにも、その話題を出すことをよしとしなかった。
つまり、どんな事故だったのかも、私は知らない。
「せめて、咲乃の好きな人に会えたなら……」
それだけで、なにか変わるだろうに。
その人はきっと、なにかを知っているはずなのに。
なんて思っているうちに、私は眠りについていた。