君がいない世界で生きるために
全く、仕方ないな。
「まず、私としては、お前たちが新城を裏切り者だと呼ぶ理由がわからないのだが」
「仲間を信じれない奴は裏切り者だ」
赤髪は単純で仲間思いだな。
髪の色通り、暑苦しい。
「僕は彼がそう呼ぶので」
なるほど、赤髪の考えを変えればいいわけか。
「……ガキだな。話し合えばよかったものを」
新城と赤髪はお互いに顔を背ける。
ここまで言われても話さないのか。
黒髪が仕切れと言ったわけがなんとなくわかった。
「新城はどう思っている」
「……やりすぎたって……頭に血が上ってた」
新城は反省しているのか、俯いている。
これ以上聞く必要はないだろう。
「二人は新城の気持ちを考えたことはあるのか?」
二人も新城と同様に俯いている。
「咲乃はここで、どういう扱いをされていた?」
「それは、天使みたいに……」
赤髪が零す。
咲乃はここで大切にされていた。
皆に好かれていた。
「なら、新城の気持ちもわかるだろう。それなのに、仲間を責めただの、信じなかっただの。どこの青春ドラマだ。今どきそんな綺麗な人間関係や友情があるとでも思っているのか」