君がいない世界で生きるために
赤髪はなにか言いたそうにしたが、口を閉じた。
話し合いと言うよりも、説得という形になってしまったが、元に戻ればいいのなら、構わないだろう。
しかし三人とも黙り込んでいる。
まだ私がなにか言う必要があるのか。
もう、我慢の限界なのだが。
「……謝って終わらせてくれ。もし、それ以上話があるのなら、後日にしてくれるか」
「お前、話し合いをして仲直りをしろって言ったじゃねえか」
赤髪が睨んでくる。
……その話し合いもしない、仲直りもしようとしないとなれば、急かすに決まっているではないか。
「私は少しでも早く咲乃が死んだ原因が知りたいのだよ」
「階段から落ちた事故だぞ?原因もなにもねえよ」
赤髪は本当に馬鹿だ。
「新城がそれを聞いて信じられなかったから、お前たちは仲間割れをしたのではないのか」
「和多瀬さんと隼人の思いが同じというわけですか」
黒髪はずっと冷静だ。
感情的になられても困るが、ここまで冷静でいられるのも困ったものだな。
「ただの事故なら、それでいい。だが、もし事件の可能性があるのなら、はっきりさせておきたい」
「事件ですか」
「暴走族のトップの恋人であったとなると、族のいざこざに巻き込まれたと思うのはおかしいか?」