君がいない世界で生きるために
黒髪はわかるところがあったのか、反論してこなかった。
「まさか、それを知るためだけに男子校に通われたのですか?隼人がどこにいるかも知らずに」
「新城が私と同い年であることは咲乃から聞いていた。だから、幼馴染に不良校に入学してもらった。私は三学期になって転入した。まあ、ある種の賭けだったな」
我ながら馬鹿なことをしていたとは思うが、じっとしていることができなかった。
「いなかったらどうするつもりだったのですか」
「そうだな……自殺でもしていただろうな」
三人は言葉を失っていた。
「お前……本気か……?」
赤髪すらも、怖いものを見るような目をしている。
「私は咲乃がすべてだった。咲乃がいなくなって、私には生きる意味がない」
「咲乃さんはそんなこと望んでいないと思いますよ」
「望まれなくても、だ。まあ新城が見つかったから、今はそんなことしないけどな」
私はそう言いながら立ち上がる。
「さて、私の話いいだろう。そろそろ影山の連絡先は新城に教えておいてくれ」
必要以上に自分のことを話してしまい、逃げたくてドアに向かう。
「和多瀬」
逃げようとしたのに、赤髪に呼び止められた。
私は怒りを込めて赤髪を見る。
「隼人を連れてきてくれてありがとな」
しかし赤髪は満面の笑みで、私はなにも言わずにその場から逃げた。