君がいない世界で生きるために
「話を聞く限り、新城が影山を責めた理由がわからないな」
新城は私から逃げるように目をそらす。
……まあ、もし新城が私と同じところで引っかかったのであれば、わからないこともないが。
「それと、咲乃の両親には言わなかったのか?」
両親は咲乃に彼氏がいたことを認めていなかった。
事故の原因も教えてくれなかった。
どう考えても妙だ。
「聞いてもらえませんでした。咲乃さんが病院に運ばれて新城さんが来た後にご両親が来て……」
「影山が説明しようとしたら、俺を見て帰れって」
影山が話しにくくしたからか、新城が続けて言った。
たしかに、今の見た目だけでも近寄りがたいのに、暴走族時代の新城と娘が関わっていたなど、認めたくなかっただろう。
話が終わり、沈黙に包まれる。
さすがにこのまま帰るわけにはいかない。
どうしたらこの空気が軽くなるだろうか。
「影山は新城を恨んでいないのか?」
「は!?」
影山よりも新城が過剰反応した。
しかし影山は笑っているように見えた。
「恨んでませんよ。俺はみんなの同情するような態度に耐えられなかっただけですから」
「その割には、引きこもりのように見えたが」