君がいない世界で生きるために

「影山はずっとこうだったけど」



……おう。



「……ややこしい見た目をしないでくれるか」



私がそう言うと、二人は顔を見合わせて笑った。



納得はいかないが、空気が和んだしよしとするか。



それにしても、気になることが一つあった。



「言葉が悪いかもしれないが、よくいかにも不審者というような見た目をした影山を咲乃の護衛に選んだな」

「影山なら咲乃に手を出さないと思ったからな」



新城は恥ずかしげもなく言った。



新城は意外と独占欲が強いらしい。


私の名前を聞いただけで咲乃に誰だと聞くくらいだから、そんな気はしていたが。



「もしかして俺、バカにされてます?」

「まさか」



それから私たちは他愛もない……いや、主に私と新城が咲乃の話をした。



その途中、ノックの音がした。


影山が返事をすると、影山の母親が顔を覗かせた。



「楽しそうなところ申し訳ないけど、お昼ができたからよかったら」



気付けば十一時半になっていた。


断ろうと思ったが、言葉的に断りにくかった。



「じゃあ、お言葉に甘えて」



そして私と新城は新城の母親の手料理をごちそうになり、帰ることになった。
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