君がいない世界で生きるために
秘密
影山に会った次の日、佑真が体調不良で休んだ。
今朝、佑真は家に来ていなかったが、それが体調不良だからなのか、私と気まずくなったからかは定かではない。
「学校トップは朝から居眠りか?」
することもなくノートを開いていたら、雨宮に話しかけられた。
雨宮は佑真の席に座る。
私はゆっくりと顔を上げる。
「いじめっ子がなんの用だ」
「それは水に流せよ」
あくびをし、両腕を上に伸ばす。
「お前は悪人になれきれないみたいだな」
「うるせえ」
それから授業が始まっても雨宮は席を移動しなかった。
どうして自分の席に戻らないのか、私の近くにいるのかはわからないが。
四時間分の授業を受け、昼の時間になった。
「和多瀬は弁当か?」
「そうだが……雨宮はここにいてもいいのか?」
「どういう意味だよ」
雨宮は不機嫌そうに顔をしかめた。
私には、どうしてそうするのかわからない。
私と雨宮はまだ会って数日だというのに。
「ほかにも友達がいるだろうに」
「俺がお前といるほうが楽しいって思ったんだよ。悪いか」
一方的に論破されたくせに、よく言う。