君がいない世界で生きるために

「それでどうやって探るんだよ」



言われてみると、そうかもしれない。


だが、むやみに探し回ることはないだろう。



「咲乃を知っている人を当たればいいだろう」

「言うと思った。俺は敵グループに聞いてみるよ」



それは正直助かる。



いや、待てよ。


俺は、と言ったということは、私は私で聞きに行かなければならないのか。



私が行くとすると、母校と咲乃の家の近所くらいか。



だとしても、私が聞きに行く人数と新城が聞きに行く人数にはかなりの差がある。



「新城、その敵に聞くのは仲間に頼めないか?」

「なんでだよ」

「ほら、人手は多いほうがいいだろうと思ってな」

「要は楽したいんだな」



断じて違う。


咲乃のことで、私が楽をするわけがない。



「咲乃が通っていた学校だけでも、新城が聞く人数の倍はいると思うが」



言い訳じみた言葉に、新城は声を殺して笑っている。



殴りたくなる。



「はいはい、わかったよ。じゃあ学校のほうはあいつらに頼むとして、その連絡が来てから学校に行くでいいか?」

「なぜだ?すぐに行動開始すればいいではないか」

「敵に疑わしい奴がいたら俺たちの行動が無駄になるだろ」
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