君がいない世界で生きるために
早く知りたいと思うが、急いでもいいことがないとも思った。
「……わかった」
「じゃあな」
そして新城は教室を出て行った。
入れ違いに雨宮が席に戻って来た。
手にはパンがある。
「新城と仲良くなったのか?」
「目的達成のために協力してもらってるだけだ」
「へー……」
雨宮はつまらなそうに返してくる。
興味ないのに、なぜ聞いてきた。
「俺にも協力させてくれよ」
耳を疑った。
どうしてそんなことを言うのか、理解できなかった。
「友達の力になりたいと思うのは普通だろ?」
会って数日でなにが友達かと思う反面、嬉しいと思っている自分がいた。
しかし、まったく関係ない雨宮を巻き込むことはできない。
「気持ちだけ受け取っておく」
正解の答えだと思ったが、雨宮は不服そうな顔をしている。
「困ったことがあったらすぐに言えよ?」
……信じられない。
今目の前にいるのは、本当に佑真をパシリにしていた雨宮か?
「……なんだよ」
「お前、本当に雨宮か?」
「当たり前だろ。なんで偽物だと思うんだよ」
お前の変わりようが信じられないから以外に理由があるか。
そしてそのまま午後の授業も受け、私は帰宅した。