君がいない世界で生きるために
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新城から報告があったと連絡が来たのは、二日後の夜だった。
新城たちのグループには二つ敵グループがいたらしい。
片方はあの日咲乃のあとをつけていたが、逃げたとのこと。
なんでも、誘拐するタイミングを見計らっていたとか。
もう一つは、全く無関係で、なにも知らなかったそうだ。
そういうわけで、木曜日、つまり今日の放課後に咲乃の学校に聞きに行くことになった。
だが、冷静に考えて、不良の新城が中学校に行くことはやめたほうがいいだろうとなり、私だけで咲乃の学校に向かった。
今日はもう授業が終わっていたらしく、部活に勤しむ生徒が多くいた。
グラウンドで部活をする生徒を横目に、私は中村先生に話を聞きに行った。
正直、私と咲乃共通で知っているのは、中村先生しかわからず、そこを頼りにしたまでのことだが。
「……和多瀬、なんで男子の制服着てるんだ?」
職員室に顔を出した私を見て、第一声がそれだった。
先生が職員室にいて安心したのに、それはないだろう。
「ちょっとわけあって。先生、今時間あります?」
「ん?わかった」
先生は不思議そうにしながらも、職員室から出てきてくれた。