君がいない世界で生きるために
私たちはどこに向かうわけでもなく、校舎内を歩く。
「それで?男装することと白雪、どう関係あるんだ?」
前を歩く先生は、振り向きながら聞いてきた。
……なぜわかった。
それが顔に出ていたのか、先生は笑い出す。
「おいおい、舐めんなよ?一年お前と白雪を見てきたんだ。和多瀬が行動する理由は大体白雪が関係してることくらい、すぐにわかる」
さすが先生だ。
仲がいいだけではなかったか。
私は歩くスピードを落とし、立ち止まった。
私が止まったことに気付かず歩き続ける先生の背中に投げかける。
「先生、私が咲乃の死んだ原因を聞いたこと、覚えてます?」
先生も立ち止まり、振り向く。
深刻な表情に私もつられてしまう。
「それを探るために、男装してるのか?」
私はゆっくりと首を縦に振る。
「咲乃には彼氏がいて、その彼氏が男子校に通っていた。私は、彼氏がなにかを知っていると思ったから、接触した」
「……だけどここに来たってことは、なにも知らなかったってことか」
また頷く。
「先生、咲乃と仲が良かった生徒を教えてもらえませんか」
先生は腕を組んで考え込む。