君がいない世界で生きるために
真実
家に母さんはいなかった。
佑真とリビングにいるが、私は話しかけられなかった。
そもそも、喧嘩して以来ずっと話していなくて、気まずいままだった。
だから、佑真に名前を呼ばれたことには驚かざるをえなかった。
静寂に支配されていたら、インターフォンが鳴った。
新城が来たようだ。
「死にそうな顔してんな」
ドアを開けた瞬間に、冗談めかして言われた。
「……誰のせいだ」
「俺のせいって?それはないだろ」
これが八つ当たりであることはわかっている。
……わかっているのだよ。
「しっかりしろ、和多瀬。咲乃の死んだ原因のためだぞ」
それも、わかっている。
頭でわかっていても、感情が追いつかない。
「玲ちゃん、お客さ……新城さん?」
私が遅かったらしく、佑真が玄関に来た。
新城を見た佑真は表情をくもらせると、私に詰め寄ってきた。
「どうして新城さんがここに?もしかして、二人付き合ってるの?ねえ、玲ちゃん。それを報告するために僕を呼んだの?」
「ストップ。落ち着けよ」
佑真らしくない言動に戸惑っていたら、新城が玄関に入ってきて、間に入ってくれた。
ゆっくりと玄関ドアが閉まっていく。