君がいない世界で生きるために
「僕はそのとき、僕のほうが自分勝手だったと気付いたんです。咲乃ちゃんのほうが玲ちゃんのことを思っていた」
「……それで?」
新城の怒りがあらわになった。
新城の低い声に、私に言われたわけではないのに、背筋が凍った。
「咲乃ちゃんが僕を引き上げてくれたけど、咲乃ちゃんはバランスを崩して……僕だって玲ちゃんの悲しむ姿なんて見たくなかったから、手を伸ばしたけど……間に合わなくて……」
佑真の話を聞いている間ずっとそうだったが、やはり聞き終えても言葉が出てこなかった。
だけど、自分がなにを思ったかはわかる。
「なあ、佑真」
泣いてしまったせいでうまく話せないが、そんなものは知らない。
「今までなにを思って私のそばにいた」
佑真は下唇を噛んで答えない。
「どうして平気な顔をしていられた?お前、本当に反省したのか?本当に咲乃に悪いことをしたと思っているのか?」
冷たく突き放すような言い方しかできなかった。
今ここで佑真に見せる優しさなどないと思った。
「反省したよ。でも……僕はやっぱり玲ちゃんに嫌われるのが怖かった」
結局なにも変わっていないように思ったのは私だけではないはずだ。