地味女子。〜恋物語〜
「よっ!こっち」
小声で、そう言って
手招きする水元を見つけた。
制服をキチッと着た受験生たちが、
ちらほらいる中、部活のカバンをドンっと
下に置いてジャージ姿、
そして、何といっても
背が大きい。
(水元...お前は、呼ばなくても見つけられる。)
と、遠い目をしながら、内心思った。
そして、言われるがまま
水元の前の席に座った。
そして、座るや否や
私の前に、数学のドリル差し出してきた。
「終わらない...」
と、一言。
中を見ると、ほぼ白紙。
「おま...ッ」
あまりの衝撃的なドリルに
思わず、声が出てしまった。
(...そうか、これをさせようという気だな。)
私は、目の前で縮こまる水元を見て
悟った。
私は少し考えてから
「仕方ない…分かった。やろう。」
と言った。