地味女子。〜恋物語〜
「そっか..!おはよう!」
彼は、何事もなかったかのように
笑顔で、また挨拶をしてくれた。
「今日、早くない?
楚和…さん…も部活?」
卯野君は、優しい微笑みで
私に問いかけた。
「そ、そそうそう。コンクール近いから
題材考えてて...
ちょっと、たまには
早く来よ...うかなって....
なんて...はははは....」
全くの嘘である。
コンクールは夏までない。
部活に1年生が入ってくれるか
不安で…何て恥ずかしくていえない。
(それにしても、よくもまあ、
こんなデタラメ言えたもんだ…)
自分に、ある意味、関心しながら、
さらに、ひきつった笑顔でごまかした。
「えらいな...うん!頑張れ!」
卯野君は、素直に関心してくれて
応援までしてくれた。
その時、私は、
嘘をついてしまったことに
少し後悔をした。
それから、ほんの数秒間
沈黙が続いて、卯野君が、
声のトーンを
ちょっとだけ下げて
話だした。
「そっか...題材か...あのさ、
もしさ...
もし....てか
気が向いたらでいいんだけど
もう一回。だけ...描いてくんないかな?
俺のこと。」