地味女子。〜恋物語〜
「...そうだったんすね、なんだ。
でも、それくらいだったら、
別に言っても…ま、いっか。」
マッシュくんは、あっけらかんとして
たが、信じてくれていた。
私達は、タイミング良く
駅に着いた。
「そ!そういうことだから
言わないでね!絶対!」
私は、念を押すように
強い口調で言った。
「あーはいはい。ってか、誰に言うんすか!
んじゃあ、俺ら、こっちなんで。」
マッシュくんは、半分笑いながら
そう言うと、私と反対方向のホームを指差した。
「そっか。私、こっちだから」
内心、ホッとしていた私は、
マスクの下でにっこりと微笑みながら
手を振った。
そして、くるりと向きを変え
ホームへと歩き出した。
その時...背後から
「あ!」
彼は、思い出したかのように
「学部!これから
よろしくお願いしますね。楚和先輩!」
と、私の背中越しに叫んだ。
丁度ホームに、彼らの乗る
電車が入ってきたところだった。
電車の大きな音で、聞こえ損ねそうに
なっていたが、はっきりと聞こえてきた。
私は、振り返り
もう一度、彼らの方を見た。
マッシュくんは、こちらをみて
手を振っている。
パーマくんは私に一礼している。
(え?本気?しかも、二人とも?)
私の頭の中は、こんがらがっていた。