地味女子。〜恋物語〜
たどり着いた先には、
練習中の野球部がいた。
まだ、始まったばかりで
準備体操をしている。
ただ、体操をしているだけなのに
動きがピタッと揃っているからか、
綺麗だった。
「楚和、ここに何色が見える?」
突然、先輩が、私に
問いただした。
「えっと…
グラウンドの茶色と…
ユニホームの白と紺……それから…
人間の髪、黒、肌の色、
肌色…くらいですかね…」
私は、目に付いた色をとことんあげた。
「うん、確かに正しい。
だけど、そういう色だけじゃなくて
もっと見えない色を入れ込むんだよ。」
そういうと、続けて
「例えば、グラウンドの色、茶色の中には
土の色もあれば、輝いている石の色
グレーがあるかもしれない。いや、それは
白かもしれない、茶色に見えていた土は、
オレンジかもしれない。見方は人それぞれ!
自分の塗りたいように、色を塗ればいい」
そう、井久田先輩にいわれ
今まで、肩にのかっていた重荷が
スッと楽になった。
(そうか、自分の好きなように
描いていいんだ)
自然とそう思えるようになった。