危ナイ隣人
「っていうか、昴にだけは言われたくないぞ俺」


「……なんで?」


「だって俺、チッキンラーメン失敗したことねぇもん」



チッキンラーメンって……お湯を入れて3分待つだけの、アレ?


以降なぜか沈黙が落ちて、キッチンにいる私達3人は顔を見合わせた。


なになに、どういうこと? なんでいきなりインスタントラーメン? 今の言い方って……。

視線だけで意思疎通なんてことが、今この瞬間はできていたような気がする。



と思ったのも束の間、勢いよく塚田くんが立ち上がった。


ずんずん歩いて……あ、近藤の口を塞いだ!



「それは言わない約束じゃなかったか、太一」


「はっへ、ふはふがびぶんぬぉことだなびわげとぅえるくぁらだるぉ……!」



何か反論してるみたいだけど、口を覆われて何を喋ってるのか全然わかんない。これじゃ通じないでしょ。



「棚に上げるも何も、あれは不可抗力だったし俺のせいじゃない」



あ、わかるんだ。


両サイドの真帆とくるみに視線を投げても、2人とも首を傾げている。やっぱり、何言ってるかわかんなかったよね。



「何なに、チッキンラーメン失敗ってどういうこと?」


「私らにも聞かせてよ〜」



私達が興味を示すと、格闘していた2人の手がようやく緩む。


近藤の口元はニヤリと緩んでいて、塚田くんは少し忌々しそうに眉を寄せていた。
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