危ナイ隣人
テレビではバラエティ番組がかかっていて、その番組は毎週俳優やら女優がゲストとして出演してる。

今週は伊藤英郎と山村賢人、松岡美優が出てるんだっけ……。


って、これだけで、誰が誰に釘付けなのかすぐにわかるなぁ。



「俺、タレントとかあんまわかんないからさ。あれと同じ熱量で見れない」


「あははっ、同感。あんな様子じゃ、この後の金ローもどうなるか目に見えてるね」


「確かに」



お互い苦笑いを浮かべつつ、キッチンに塚田くんを招き入れる。


シャツの袖をまくって無言で手を出されたので、そこにスポンジを乗せた。



「では、塚田昴くんにお皿洗い係を任命します」


「任命されます」


「ありがと、助かる。私はホットケーキの準備しちゃうね。お腹いっぱいだけど」



床に置いていた袋の中から、買ってきたホットケーキミックスを取り出して掲げる。

150gの小分けにされた袋が、4つ入ってるやつだ。

1袋に2つのサイズもあったんだけど、全部食べれるでしょ! って、完全にノリと勢いで買ってしまった。


お鍋も、各々に好きな具材を選んだおかげでかなり量あったし、4人で300gでも十分だったよなぁ絶対……。



「鍋の準備してる時も思ったけど、段取りいいよな御山さんって。しっかりしてる」


「ほんと? けっこうポカしたりするよ」


「嘘だろ、想像できない」



私はホットケーキミックスの材料を取り出しながら、塚田くんは食器を洗いながら、何気ない会話を交わす。


同じテンポで進んでいく会話は、なんだか少し、心地いい。
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