危ナイ隣人
身に覚えのあるポカの内容を思い出すと、いたたまれなくて身動ぎしてしまうけど。



「っていうか、本当に俺達も泊まっていいのか? さすがに悪い気するんだけど」


「気にしないで。金ロー終わりだとかなり遅くなっちゃうし、どうせ今日は朝までだろうから」


「今日ってやっぱりそういうプラン?」


「スーパーに入ってる100均で近藤がトランプ買ってるの見たから、たぶんね。リタイア可だよ」



ボウルにホットケーキミックスと牛乳を入れて、たまごを割り入れる。

さすがに4袋分も食べられないだろうから、2袋にしておく。

万が一足りなかったとしても、後でまた追加すればいいよね。



テレビの音や真帆達の声が響くリビングと違って、キッチンには水の音と食器同士が触れる音、それからホットケーキミックスを混ぜる音だけがこだましている。


リビングとキッチンとでは、まるで違う空気が流れてるなぁ。

──なんて思っていた時、



「……あれ?」



音の合間を縫って、どちらの空間にも似つかわしくない声が聞こえた気がした。


思わず口をついて出た声に、塚田くんが不思議そうに首を傾げる。



「どうかした?」


「あ、いや……。なんか、騒がしい声が聞こえた気がして」


「声?」



塚田くんが水を止めてくれたので、1番に鼓膜を震わせていた水の音が止む。


すると、微かに聞こえた音のボリュームが少しだけ大きくなって……何やら、マンションの廊下が騒がしい。
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