危ナイ隣人
【りょ、とか使ってくるなよ。JKみたいじゃねぇか】



絵文字も顔文字も、(笑)すらなし。

追ってメッセージが来るかと思いきや、もうスマホは震えない。



その場で立ち上がって、スマホをソファーに投げつけた。



「JKみたいじゃなくて、JKだっつーの!!!」



普段コドモ扱いのくせに!

むかつく。明日の晩ご飯、ナオくんのだけ日の丸弁当みたいにしてやる!


あぁもう。こんな調子だし、昨日のはやっぱり見間違いだ。

絶対にそうだ……!





12月下旬、地獄のテスト期間を乗り切り、無事に冬休みに突入した。



「ピアスあいてたんだ」



ソファーにもたれかかってテレビを見るナオくんの耳に、今まで気付かなかったピアスホールを発見。


非番のナオくんの家で、晩ご飯を食べ終えてからリビングを掃除していた私は、クイッ●ルワイパーを床に置いてソファー越しに覗き込む。


あ、やっぱり穴ある。



「あー、まぁ。よく気付いたな」


「チラッと見えた。普段ピアスつけてないよね?」


「うん。たぶんもう持ってない」



視線をテレビに向けたまま、気怠そうに答える。


反対側の右も見てみたけど、あいてるのは左耳だけみたいだ。



「もうつけないの?」


「見てみたいのか?」


「ちょっとね。チンピラみたいで似合いそう」


「ワイルドだって? ありがとう」



言ってないし。

ツッコミ入れようかと思ったけど、ナオくんもテキトーに言ったっぽいからスルーでいいや。


息を吐くようにこういう言葉が出てくるの、ホントすごいと思う。
< 115 / 437 >

この作品をシェア

pagetop