危ナイ隣人
だけど「あかねとおそろいの色だよ」ってあの頃の私なりに励ましたら……いっぱい頭撫でてくれたなぁ。



「……何気持ち悪い顔してんだよ。1人でニヤけて気持ち悪い」


「今2回も気持ち悪いって言ったでしょ! レディに向かって最低」


「レディ? って、」


「どこ? なんて言ったらはっ倒すよ」



言葉を遮って拳を突きつけてやると、「すんませんした」と珍しく素直。


いや、あんまり心込もってなさそうではあるけど……まぁいい、許してあげる。


3回目のレディどこ? があったらその時は知らないよ。

ネタは鮮度が命って、西の方に住むおじいちゃんの弟のお孫さん辺りが言ってた。気がする。


「お兄ちゃんかっこよかったなーって思って。どこかの誰かさんと違ってさ」


「……へぇ」



いつもの調子でおちゃらけてくるかと思いきや、気のない返事しか返ってこない。


あらら? 張り合いないなぁ。


っていうか、お兄ちゃんの自慢話聞く気ないなこの人。

テレビに視線戻しちゃったよ。



「ナオくんって、どこの高校行ってたの? このへん?」


「……唐突だな」


「そんなことないでしょ。今めっちゃ前フリあったじゃん」



床に置いたクイック●ワイパーを拾い上げて、掃除を再開する。


こまめに掃除してねって言っても、全く聞く耳持ってくれないから困る。
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