危ナイ隣人
そこでようやく思い至る。



「そっか、塚田くんは見たことあるんだっけ」



フロアの廊下でナオくんが酔い潰れていた時、様子を見に行った私がなかなか戻ってこないから、塚田くんが私を心配して出てきてくれたんだ。


って……あれ、最悪のファーストコンタクトじゃない?



「お隣さんって、あの時座り込んでた人だろ? 大丈夫なのか?」



やっぱりそうなるよねぇ。


怪訝そうな顔で言われて、私はもう笑うことしかできない。

だって、フォローしようがないんだもん。



「なんか、壊滅的にお酒弱いらしいんだよね……。普段は最低限ちゃんとしてる人だから、大丈夫だよ」


「それならいいけど」



心配してくれてる塚田くんを納得させられる言い訳としてはちょっと弱いかもしれないと思ったけど、塚田くんがそれ以上深掘りしてくることはなかった。


ほっとしたのと同時に、なんで私がナオくんを庇わなきゃならないんだ! と気付いてしまう。


ナオくんに【終わったよ】とだけメッセージを入れて、私も帰り支度にとりかかった。





食堂を出て、みんなで昇降口を目指す。



「あーあ。実力テストってやる気出ねぇなぁ」



他に人影のない廊下を、上靴をぺたぺた鳴らしながら歩く。


近藤がそう言ったので、みんながみんな頷いた。



「わかる。成績に入んないのにやる必要なくない? って毎回思う」


「わかる〜」
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