危ナイ隣人
【昨日は途中でぶった切って悪かった。わからないとこあるなら、次の非番の日にでも教えてやる】



ニュース番組が自動車部品メーカーの工場火災を報じた翌朝、学校に着いた私のスマホにナオくんからそんなメッセージが入っていた。





2月上旬。ホームルームの時間に、先生から実力テストの結果を返された。



「えっ、茜すごくない!?」



横から覗き込んできたのはくるみで、何事かと周りの視線が集まる。


シッ、と指を立てると、くるみはバツが悪そうにと口に手を当てた。



「ごめん。びっくりしちゃって、つい」


「いいよ。私もびっくりしたし」



実力テストは、答案じゃなくて全部の結果がまとめられた用紙が返される。


そこに各教科と総合の順位も載ってるんだけど……今回、まさかの学年9位!



「いつにも増して勉強してたもんね、茜」


「あはは、うん。我ながら気合入ってた」



いつもは30位くらいの私が、これだけ順位を上げられたって、かなり大金星じゃない?


ご褒美があるだけでこんなに頑張れちゃう私って、単純なのかもしれない……。



「ナオくんに連絡しなきゃ」



スカートの横ポケットからスマホを取り出して、LI●Eを立ち上げる。


スクロールしてナオくんのトーク画面を呼び出し、まずは喜びのスタンプを送った。



【この前のテスト、9位だった。ご褒美ゲット!】



メッセージを送信し終えて顔を上げると、くるみがニヤニヤと口元を緩めて私を見ていた。
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