危ナイ隣人
真偽はわからないけど、火のないところになんとやらって言うくらいだし、何よりこの目で塚田くんの整った顔は何度も見てる。


そんな美形な塚田くんを、無類のイケメン好きのくるみがスルーするわけない……って思ってたんだけど。



「なーんだ、そんなことかぁ。てっきり、オススメのイケメンでも教えてって言われるのかと思ったよ」


「私がくるみに言わない言葉ランキング1位だよそれ……」


「あははっ、確かに! ホントにイケメンに興味ないもんねぇ、茜って」



イケメンに限らず、他人にあんまり興味がない……ってことは、くるみだって知ってるからわざわざ付け加えるようなことはしないでおく。


くるみは少し考える素振りを見せてから、口を開いた。



「塚田くんは距離が近すぎるんだよね〜」


「距離?」


「うん。そりゃ、入学してすぐの頃は、他クラスにかっこいい子がいる! って思ったけど、芸能人と違って普通に関われちゃうからさぁ」


「関わりたくないってこと?」


「いやいや、そんなふうには思ってないよ? ただ、かっこいいって騒いで周りの反感買うのも面倒だし、イケメンは遠くから観賞用として楽しむのが私のスタンスっていうか」



なるほど。

確かに、塚田くんと話してるだけで教室の内外から視線が向けられる。

羨望から来るものもあれば……嫉妬なんかから来るものもあるだろう。


くるみは、そういうのがめんどくさいってワケね。
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