危ナイ隣人
人のために命を懸けるあの人に、面と向かって伝えたい。

秘密にしてたご褒美の内容も、それを何故あなたに頼むのかも。


伝えたらきっと、「そんなワケあるか」って笑われるんだろうけど。



あぁ、なんでかな。

今、無性にナオくんに会いたいや。





放課後、ついつい真帆とくるみと話し込んじゃって、学校を出るのが遅くなった。

それでもまだ5時過ぎだと言うのに、1月の空はどうも気が短い。

私と同じリズムで動いている濃く長い影をぼんやり眺めながら、私は1人、帰路についていた。



「スーパー寄って帰ろっかなぁ」



少しだけ遠回りになるんだけど、帰ってからまた家出るの面倒だし。

学校の鞄にプラスアルファって考えたら、ちょっとげんなりしちゃうけど、袋の2つや3つ、持てないほどひ弱じゃない。



うん、やっぱり寄って帰ろ!


心の中で決意してスーパーに進路を定めた時、ポケットの中でスマホが震えた。


左肩に持った鞄が邪魔をしてすぐに取り出せないでいる間も、スマホは振動を止めない。



誰だろ……?


やっとの思いでスマホを取り出して画面を確認すると、そこには【真木直也】と、お隣さんの名前が表示されていた。


電話なんて珍しい。どうしたんだろ。

あ、もしかして、「よくやったな」って労いの言葉?

それとも、「先にご褒美が何か教えろよ」って内容? ……こっちの方がありえるな。
< 162 / 437 >

この作品をシェア

pagetop