危ナイ隣人
私が無理矢理話を切り上げると、2人は心配そうにしながらもそれ以上は何も聞かずにいてくれた。





一人暮らしが始まって1週間近くが経った頃、私の中の引っかかりは初めより大きなものになっていた。



何かを見たわけじゃない。何かを聞いたわけでもない。

ただ私はあのマンションの404号室に住んでてて、403号室には真木という男の人が住んでいる。それ以上でもそれ以下でもない。


ただ、少し気になったのは……お隣さんの生活リズムがあまりにも掴めないこと。


たかが隣人で、一瞬話しただけ。

しかも、隣に住み始めてまだ少ししか経ってないし、掴めてしまうことといえば、部屋にいて聞こえてくる扉なんかの音くらいのものだけど。


挨拶をしてからコンビニに行くと言って別れたあの日、30分もしないうちに玄関の扉が開く音がしたから、お隣さんは家にいたんだと思う。

だけど次の日、始業式で早く家に帰った私の耳に、外からは何の音も届かなかった。


その後も、物音一つしない日はたくさんあって……。


別に聞き耳を立ててるわけじゃないし、変に意識してるわけでもない。
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