危ナイ隣人
「あの、真木は」
本郷さんに一歩詰め寄られても、慣れたことなのか、医師らしき女性は顔色一つ変えずに口を開いた。
「精密検査をしましたが、衝撃による脳内出血も見られませんでしたし、大きな外傷もありませんでした」
「あ……」
「脳震盪でしょうね。命に別状はありませんよ」
淡々と述べられたナオくんの状態に、本郷さんがホッと息を吐いたのがわかった。
「面会可能ですが、入られますか?」
「あ……はい!」
「ご案内しますね」
白衣の裾をなびかせて、大きな扉の横に備え付けられた機械に、首から下げていたカードをかざした先生。
すぐに扉は自動で開いて、その先はこれまたドラマでよく見る非現実な世界が広がっていた。
先生の後をついていく本郷さんの背中を、慌てて追う。
いくつかのベッドを通り過ぎた後、カーテンで仕切られた一画の前で先生は足を止めた。
「ナオ、くん」
ベッドの上に横たわるナオくんは、相変わらず、むかつくほど綺麗な顔をしていた。
その頬には、痛々しく大きなガーゼが貼られていたけれど。
「じきに目を覚まされると思いますよ」
そう言った先生は本郷さんと何やら言葉を交わしたあと、一画を仕切るカーテンを完全に締め切って、どこかへ行ってしまった。
「大きな怪我もなさそうでよかった……。いっそ腹立つくらい健やかに眠ってるね、直也のヤツ」
「……はい」
「……俺、先に職場に連絡入れてくるね。班のみんな、心配してると思うから」
本郷さんに一歩詰め寄られても、慣れたことなのか、医師らしき女性は顔色一つ変えずに口を開いた。
「精密検査をしましたが、衝撃による脳内出血も見られませんでしたし、大きな外傷もありませんでした」
「あ……」
「脳震盪でしょうね。命に別状はありませんよ」
淡々と述べられたナオくんの状態に、本郷さんがホッと息を吐いたのがわかった。
「面会可能ですが、入られますか?」
「あ……はい!」
「ご案内しますね」
白衣の裾をなびかせて、大きな扉の横に備え付けられた機械に、首から下げていたカードをかざした先生。
すぐに扉は自動で開いて、その先はこれまたドラマでよく見る非現実な世界が広がっていた。
先生の後をついていく本郷さんの背中を、慌てて追う。
いくつかのベッドを通り過ぎた後、カーテンで仕切られた一画の前で先生は足を止めた。
「ナオ、くん」
ベッドの上に横たわるナオくんは、相変わらず、むかつくほど綺麗な顔をしていた。
その頬には、痛々しく大きなガーゼが貼られていたけれど。
「じきに目を覚まされると思いますよ」
そう言った先生は本郷さんと何やら言葉を交わしたあと、一画を仕切るカーテンを完全に締め切って、どこかへ行ってしまった。
「大きな怪我もなさそうでよかった……。いっそ腹立つくらい健やかに眠ってるね、直也のヤツ」
「……はい」
「……俺、先に職場に連絡入れてくるね。班のみんな、心配してると思うから」