危ナイ隣人
耳に手を当てて、電話をかけるジェスチャーをした本郷さんに、頷き返す。
それを確認した彼は、薄い緑とも青ともとれるような淡い色のカーテンの向こうに消えていった。
「…………」
「…………」
恐る恐る足を踏み出して、枕元の方まで歩いてみる。
ガーゼ以外は、いつも通りのナオくんだった。
だけど、そのガーゼがやけに目につく。
「早く目ェ覚ましてよ……。魔法にかけられて眠るお姫様、なんてガラじゃないでしょ」
どっちかっていうと、カボチャパンツ履いてお姫様を救いに来る王子様の方が、まだ似合ってる。
そんなことを言ったら、きっとナオくんは「バカ」って言うんだ。
それとも、俺はカボチャパンツをも着こなすぞとか自信満々に言うのかな。ちょっと言ってみてほしいな。
そしたら、私が「バカ」って言って笑うから。
かけられた布団から伸びたナオくんの手に、自分の手をそっと重ねてみた。
大きくてかたい手は、ちゃんとあったかい。
あの時とは違う。
ナオくんは、ここに、ちゃんと、存在してる。
頭ではそう、わかるのに……
「……っ」
ぐっと唇を噛んだ。
そうしないと、溢れそうになる涙を堪えられなかった。
「やくそくなんて、しなきゃよかった……っ」
ナオくんとだって……お兄ちゃんとだって。
こんな思いをするくらいなら、多くなんて願わなかったのに。
それを確認した彼は、薄い緑とも青ともとれるような淡い色のカーテンの向こうに消えていった。
「…………」
「…………」
恐る恐る足を踏み出して、枕元の方まで歩いてみる。
ガーゼ以外は、いつも通りのナオくんだった。
だけど、そのガーゼがやけに目につく。
「早く目ェ覚ましてよ……。魔法にかけられて眠るお姫様、なんてガラじゃないでしょ」
どっちかっていうと、カボチャパンツ履いてお姫様を救いに来る王子様の方が、まだ似合ってる。
そんなことを言ったら、きっとナオくんは「バカ」って言うんだ。
それとも、俺はカボチャパンツをも着こなすぞとか自信満々に言うのかな。ちょっと言ってみてほしいな。
そしたら、私が「バカ」って言って笑うから。
かけられた布団から伸びたナオくんの手に、自分の手をそっと重ねてみた。
大きくてかたい手は、ちゃんとあったかい。
あの時とは違う。
ナオくんは、ここに、ちゃんと、存在してる。
頭ではそう、わかるのに……
「……っ」
ぐっと唇を噛んだ。
そうしないと、溢れそうになる涙を堪えられなかった。
「やくそくなんて、しなきゃよかった……っ」
ナオくんとだって……お兄ちゃんとだって。
こんな思いをするくらいなら、多くなんて願わなかったのに。