危ナイ隣人
「相変わらず可愛いわー、茜ちゃん。久しぶりに会えたのが嬉しくって、つい」
「つい、じゃねぇよバカ。勝手に呼び出しやがって」
昨日の何やら仰々しい病室からは移動したと、新しく教えられた先の病室の扉を開けた瞬間訪れた京香さんのぬくもりが離れて、視界が元の広さに戻る。
すると、ずっと陰になってて見えなかったナオくんの姿が見えた。
ベッドは一つ、個室だ。
「……悪いな、また来てもらうことになって」
ベッドの上で上半身を起こしているナオくんは、昨日よりも随分顔色がよくなったように見える。
セットのされていないぺったんこの髪が、ナオくんの切れ長の目にかかっている。
「それは……構わないけど」
ドラムを叩くように、激しく鳴る鼓動。
それを悟られてしまわないように、間違っても声が上ずったりしないように、平然とした振る舞いを心掛けた。
「京香がスマホ寄越せっつーから渡したんだ。……したら、お前呼び出してた」
「なるほど」
「だってあんたと2人とか、むさ苦しくてつまんなかったんだもーん」
「だったら帰ればよかったろ!」
ナオくんが吠えても、京香さんは相変わらずだ。
前に会った時、ナオくん曰くダメンズウォーカーな京香さんは恋愛のことで傷ついてたみたいだけど、もう元気になったのかな。
あの時は恋愛が何なのかとかよくわかってなかったけど……今思えば、恋人に浮気されるとか、本当につらい経験だったんだろうなぁ。
「つい、じゃねぇよバカ。勝手に呼び出しやがって」
昨日の何やら仰々しい病室からは移動したと、新しく教えられた先の病室の扉を開けた瞬間訪れた京香さんのぬくもりが離れて、視界が元の広さに戻る。
すると、ずっと陰になってて見えなかったナオくんの姿が見えた。
ベッドは一つ、個室だ。
「……悪いな、また来てもらうことになって」
ベッドの上で上半身を起こしているナオくんは、昨日よりも随分顔色がよくなったように見える。
セットのされていないぺったんこの髪が、ナオくんの切れ長の目にかかっている。
「それは……構わないけど」
ドラムを叩くように、激しく鳴る鼓動。
それを悟られてしまわないように、間違っても声が上ずったりしないように、平然とした振る舞いを心掛けた。
「京香がスマホ寄越せっつーから渡したんだ。……したら、お前呼び出してた」
「なるほど」
「だってあんたと2人とか、むさ苦しくてつまんなかったんだもーん」
「だったら帰ればよかったろ!」
ナオくんが吠えても、京香さんは相変わらずだ。
前に会った時、ナオくん曰くダメンズウォーカーな京香さんは恋愛のことで傷ついてたみたいだけど、もう元気になったのかな。
あの時は恋愛が何なのかとかよくわかってなかったけど……今思えば、恋人に浮気されるとか、本当につらい経験だったんだろうなぁ。