危ナイ隣人
でも、今日私が家を出る少し前に、扉が閉まる音と、鍵の音が外から聞こえてきた。

存在を感じる時があるからこそ、1日中何も感じない日があることが引っかかって仕方ないんだ。



私はお隣さんのことを何も知らない。

どこにも根拠なんてないし、そんなわけないって何度も思った。

だけど、知らないからこそ。


もしかすると、私の常識を超えた、危ない仕事をしてる人なんじゃないかって……そんな考えがふと頭を過ぎったんだ。





その日はお母さんに教わった肉じゃがにするつもりで、学校の帰り道にちゃんとスーパーに寄って具材を調達した。


先に宿題を片付けて、洗濯機を回して、調理をする段になって──重大なことに気が付いた。



醤油がない! 買い物袋を何度漁っても、肉じゃがに欠かせない醤油は見当たらない。



もしかして、買い忘れた!? 

記憶を遡っても、醤油をカゴに入れた図は出てこない。


うわぁ、最悪。なっ……にしてんだ私っ!


凡ミス中の凡ミスに、思わずガクッとうなだれる。

じゃがいもやにんじんはもう切っちゃったし、カレーにしちゃえ! と思っても、一人暮らしを始めたばっかりで、一度もカレーを作ってないからルウのストックはないし。
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