危ナイ隣人
「でもほんと、大きな怪我なくてよかったわよ。今日の検査でも異常なかったんでしょ?」


「あぁ。明日の昼には退院できるって」


「あら、そうなの? だったらべつに私がサポートすることもないわね」


「だから、LI●Eでもそう言ったじゃねえか」



そっぽを向きながら言うナオくんに、京香さんが小さく息を吐く。



「軽傷でもなんでも、この目で確かめなきゃ安心できないじゃないのよ。わざわざ来てやったんだから黙ってありがたがってなさい」


「そりゃドーモ」



2人のやり取りを見てると、笑いが込み上げてきた。


堪え切れなくて声を漏らすと、二人が同時にこっちを向いて、目をぱちくりさせる。



「あ、いや……すみません、なんか2人、姉弟みたいだなって思って」



失礼だったかな。


そう思って慌てて説明すると、ナオくんの顔が歪められた。



「嫌だよこんな横暴なネーチャン」


「何ですって?」


「身に覚えあるだろーが。自分でマドンナとか言うくらいだしな」


「……マドンナ?」



その単語を私が拾うと、ナオくんがニイっと口角を持ち上げた。



「大好きな茜チャンが首傾げてんぞ? 説明してやれよ」


「鬼の首とったような顔すんじゃないわよバカ」



京香さんがナオくんの肩をポカッと叩いた。


大袈裟に痛がった彼にはお構いなしに、京香さんは私に向き直る。



「高校の時に部活のマネージャーやっててね。それで」


「自称でしかないのによく言うわ」
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