危ナイ隣人
あーあナオくん、そんな憎まれ口叩いたら……ほら、やっぱり小突かれた。



「京香さん綺麗だもん。口で言わなくたって、ぜったいみんなの憧れだったと思うなぁ」


「茜ちゃんってば……なんていいコなの。どっかの図体だけデカい男とは大違い。涙出ちゃうわ」



京香さんの腕が再び伸びてきて、私を包み込む。

この人の距離感、くるみと似通ったものを感じるなぁ……。


なんか、そう思ったらこのハグにも慣れてきちゃった。



「もういい歳だから涙腺ユルいんだろ。養●酒買ってやろうか?」


「ポチってもいいけど、その瞬間に明日退院できなくするわよ?」


「すんませんっした」


「よろしい」



改めて……この2人、絶対過去に何にもなかったんだなぁ……。


今はもう、ほんとに姉弟にしか見えないんだもん。

こうやって言い合いはするけど、ナオくんが大変な時に駆けつけるし、ナオくんも本当に心を許してる感じだし。



なんか……いいなぁ。



「……茜?」


「え……? あ、なに?」


「いや、ぼーっとしてたからどうしたのかと思って」



危ないあぶない、つい自分の世界に入っちゃってた。

高校の頃からの付き合いなんだもん、ぽっと出の私なんかが羨むことすらおこがましいよね。



「ごめんごめん。ちょっと考えごとしてて」


「ふーん。なんか悩みでもあんのか、JK」


「へ!?」



悩み。そんな単語が投げかけられるなんて想像もしてなかったから、びっくりした。


私今、そんな深刻そうな顔してた? 
< 181 / 437 >

この作品をシェア

pagetop