危ナイ隣人
悩みかどうかはわかんないけど……少なくとも考えごとのど真ん中にいる人に聞かれたって、答えられるわけないじゃん!



「べつに、そんなのないよ? 京香さんは何部のマネージャーやってたのかなーって考えてただけ」


「あ、私?」



突然話を振られて、少し困惑気味の京香さん。


ご、ごめんなさい……。

逃げ場にしたこと、許してください。


もちろん、京香さんの学生時代が気にならなかったわけじゃないから。

けして嘘を吐いたわけじゃないから……!


自分の中で言い訳しながら、口に出すべき言葉を探す。



「さっきの言い方から、男子が多い部活っぽかったから。野球部とか……サッカー部とかなのかなって」



ナオくんのことを考えてた事実をごまかすのに必死で、視野はどんどん狭くなって。


この時2人が、どんな顔をしてたのかなんて知りもしないで。



「うん、正解。サッカー部だったよ」


「えっ、そうなんですか!? え、じゃあ、だったら──」


「あ、そういえば」



ジェットコースターみたいにテンションが急上昇した私の言葉の先は、ナオくんの低い声によって遮られた。


いいとこで邪魔しないでよ! と首をぐりんと回すと、ナオくんがスマホを片手に掲げている。



「テスト、上出来だったみたいじゃん」


「あ……」



色々あって、すっかり忘れてた。

昨日、テストの結果をメッセージに入れてたんだった。
< 182 / 437 >

この作品をシェア

pagetop