危ナイ隣人
「なるほど、俺を足にしようってか」


「そんなつもりはないけど、まぁ、そういうことになるね」


「……めんどくせーけど、約束は約束だからな」



ぽりぽり頭をかき、面倒くさそうにしながらも、ナオくんは私の申し入れを受け入れてくれた。



「ほ、ほんとに? 後で、やっぱやめたとか言わない?」


「言わねえよ。そんなことしたら末代まで呪うだろお前」



あんまり乗り気じゃなさそうに見えるけど、約束だからって言ってナオくんは首を横に振らなかった。


だから私も、気付いてないフリして乗っかってやる。



「約束だからね。忘れないでね」


「わかったって。前後にずれても文句言うなよ」


「言わないよ」



指切りしようって、面白半分に小指を出したら、見事にスルーされた。





お兄ちゃんに報告しなきゃ。

この人が、私が初めて好きになった人だよって。

私も、恋なんてものをするくらい大きくなったんだよって。



もし時間があったら、帰りに、ナオくんをどこかに誘ってみようかな。

望みがなくなって、私がナオくんの恋愛対象外だってわかってたって……それくらいは許される、よね?


いや、許されてほしい。

じゃないと、初恋の人とちゃんと行った場所が、もんじゃのお店だけになってしまう……。


それだけは避けたい。

もんじゃを貶すわけじゃないけど、ほら、一応女子としてね。

色気とか、そういうの考慮するとね。
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