危ナイ隣人

抗エナイ思い

「デート、いよいよ明後日だね!」



春休みに突入し、家に遊びに来た真帆とくるみは、声を揃えてそう言った。


彼女達の前にレモンティーを置きながら、小さく首を振る。



「デートじゃないって……。お墓参りっていう、ちゃんとした目的があるんだから」


「でも、好きなんでしょ?」



私も腰を下ろして、レモンティーが入ったカップに口をつけたところで、真帆の遠慮ない言葉がツバメのような鋭さで飛んできた。


容赦がなさすぎて、思わず咳き込みそうになる。



「まぁ……うん。それは、そうだね」



もごもごと肯定すると、顔が熱くなった。

まるで、足先の熱さえもせり上がってきたよう。



恋心を自覚してからすぐ、2人にはこの思いを打ち明けた。

真帆はなぜか納得したように、くるみはすごく興奮気味に、私の話を聞いててくれたっけ。


……そう、くるみはまさにこんな感じで、目をキラキラ輝かせて。



「あ~茜もちゃんとオンナノコだったんだねぇ。可愛いなぁ」


「もう……やめてよ」



テーブルに両肘をついて、微笑ましそうにくるみが私を見るから、いたたまれなくなって思わず身じろぎする。


恋バナとか今まで興味もなかったし……その中心に自分がいることもすごく変な感じがするし、やっぱり慣れない。

ずっと誰かに心臓をくすぐられてるような感覚だよ。



「なんかさー、ちょっと妬けちゃうなぁ」


「妬けるって?」
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