危ナイ隣人
天井を仰いだくるみがそんなことを言うから、わけがわかんなくて首を傾げる。


くるみの隣で真帆も同調するように頷いているから、ますます理解不能だ。



「いやーだってさ。学校にいる時の茜は、良くも悪くも隙がないっていうか……周りに比べると、やっぱり大人っぽいんだよね」



でも、とくるみの言葉は続く。



「お隣さん……真木さんだっけ? あの人といる時とか、こうしてあの人の話をしてる時は、ちゃんと同い年の女の子だなーって思えるんだぁ」



ニコニコ笑顔のまま核心らしきところを衝かれて、びっくりした。



たぶん、そうなんだと思う。


普段は、弱いところが見えてしまわないように気を張っているところがあって。

そうするようになってから、「大人っぽいね」とか「落ち着いてるね」って言われることが増えた。

……まぁ、見た目詐欺って言われるようになったのも同じ頃からなんだけどね。


強く在ろうと思うのに、ナオくんが真っ直ぐに私を見透かすから、どんなごまかしもきかなくて、弱くなって。

そういう自分が嫌だと思う傍らで、心地いいと感じる私もいるんだ。


……なんて、癪だから素直に認めたくはないけれど。



「まぁ、これだけ歳も離れてればね。むしろナオくんと私が同じくらいに見えてたら、それこそまずいよ」


「うんうん、そうだねぇ」



なんかすっごい温かい目で見られるけど、ここはもうスルーしておこう。
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