危ナイ隣人
その人はね、今、私の隣にいる人です。


びっくりした? 誰だよって思った?

どう見ても私と同年代じゃないもんね。


私の7つ上だから、お兄ちゃんの2つ下かな。

って……お兄ちゃんの時間は19歳で止まったままだから、歳下って言っていいのかわかんないけど。


私が今一人暮らししてる家の、隣に住んでる人なの。


相変わらず脱いだ服はそのままにするし、掃除はぜんぜんしないし、色々適当な人だけど……いいところもたくさんあるんだよ。


例えば、仕事に対して真面目なところとか、たまーに優しくしてくれるところとか。

今みたいに……私の隣で、ちゃんと手を合わせてくれるところとか。


こんなにも心を揺さぶる感情があるんだってことを、この人に出会って初めて知ったよ。



「……そろそろ帰ろっか」


「あぁ、そうだな」



だからね、お兄ちゃん。


あかねは今、けっこうしあわせ。





帰りの道路が少し混んでたけれど、16時前にはマンションに戻ってこられた。


ナオくんにリビング立ち入り禁止令を敷いて、寝室に姿を消したのを確認したところで、私はまたマンションを出た。


散歩がてらにスーパーまで歩いて、必要な材料を買い揃えて。

再びマンションに帰った頃には、寝室からは物音一つ聞こえてこなかったから、ナオくんは眠っちゃったんだと思う。


よっぽど疲れてたんだろうなぁ。
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