危ナイ隣人
それから、買ってきた材料の仕込みを済ませて、なるべく音を立てないように部屋を掃除して、料理に取り掛かった。



「うん、上出来」



味見をしたお皿をワークトップに置いて、頷く。

ふふん、我ながらいい出来だ。



「もう19時過ぎてるんだ」



キッチンから、リビングの時計は見えないから気付かなかった。


そろそろご飯にしてもいい頃だけど……ナオくん、起きてこないなぁ。



「あんまり寝たらこの後寝られないだろうし、起こしてもいいよね」



ということで、L●NEでモーニングメッセージを送ってやる。

……メッセージっていうか、【起きろ!】っていうふざけたキャラクターのスタンプだけど。


一個じゃ足りないと思って連打しても、既読は一向につかない。

待てども待てどもつかない!



「こうなったら、電話……より、直接行ったほうが早いか」



まくっていた袖を下ろして、リビングを出る。


廊下に出たすぐ右手に扉があって、その向こうが寝室だ。



「…………」



扉を叩こうとして、ギリギリのところで動きが停止する。


我ながら、さっきの勢いはどこ行った?



「……ふう」



403号室のこの部屋は私にとって未知の場所だから、ちょっと緊張しちゃった。


いやいや、起こすだけだから。

扉叩いて、出てきてもらうだけだから。



「よし」



大きく息を吸ってから、扉を2回、ノックした。
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