危ナイ隣人
理解できるだけの説明もしないで、ナオくんが403号室を出て行ってしまったことだけは本当で。

シューズクローゼットの上に置かせてもらっていた私のキーケースから、403号室の鍵が外されていた。



こうして、驚くほど呆気なく、ナオくんと繋がる糸は切れてしまった。





彼が言った言葉の意味も、あの写真の意味することもわからないまま時間だけが過ぎて、気が付けば春休みが明けていた。



「茜もクラス一緒がよかったよぉ〜!」



放課後、半ベソをかきながらクラスに飛び込んできたくるみを抱きとめる。


遅れてやってきた真帆と近藤は、そんな私達の様子を見て呆れたように笑いながら、途中の席にいる塚田くんと言葉を交わしていた。



「うん。最後だし、私も一緒がよかったよ」



朝、昇降口の扉に紙が張り出され、新しいクラス分けが発表された。

3人一緒は無理だろうなーと思いつつ、少しの期待を抱きながら確認すると、期待はやっぱり裏切られた。


私は5組で、真帆とくるみは6組だった。


広く友達付き合いをしてこなかった私は、羅列された名前の中に親しい友達がいないことに不安を覚えたんだけど。

その中に塚田くんの名前を見つけたから、少しだけ胸を撫で下ろした。


その塚田くんに対して、6組だった近藤は、


「また隣かーい!」


と嘆いてた。
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