危ナイ隣人
中学校からの仲の2人は、3年連続隣のクラスなんだって。

それはそれですごいけど、せっかく同じ高校になったのにちょっと不憫だなぁ……。



「もう、くるみったら」


「真帆」


「隣のクラスだから体育は合同だし、それはよかったよね」


「唯一の救いだよ〜」



ぎゅうぅっと、私を抱きしめるくるみの力が強められる。



「くるみ……そのままじゃ茜、苦しそうだよ」


「えっ! ウソっ」



パッと顔を覗き込まれて思わず苦笑いを返すと、腕に込められた力が弱められる。



そこで、ようやく少し体を身動ぎできるようになったんだけど、くるみが私から離れることはなくて。

そこでようやく、心配されてることを悟った。



──春休みの終わり頃。

再び2人がうちに来た時に、あの日あったことを全て話した。


お墓参りは終始穏やかだったことも、帰ってきてから眠っていたナオくんが、お兄ちゃんと一緒に写る写真を持っていたことも。

……あの時放たれた、温度を失った言葉の一言一句も。



2人は困惑した様子で、私の話を静かに聞いてくれていた。

時折言葉が詰まったけど、涙なんてものは出なかった。


本当に、1ミリも理解できないままで、意味もなく流れる涙はなかった。
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