危ナイ隣人
ただどこか空虚な毎日を過ごしていた私に、2人が気にかけてくれて届く何気ないメッセージはあったかくて、ちょっと沁みた。



「ねね。帰りにさ、駅前のテイクアウトショップ寄って帰らない? タピオカ飲みたいんだぁ」


「うわー、いいな。俺もタピりたい」


「ぶはっ、近藤がタピるだって」


「なんだよ、笑うとこじゃねぇぞ」


「だって似合わないんだもん〜。ねぇ、茜?」



同意を求められると思ってなくて、すぐに反応できなかった。


その場にいる全員の視線が集まって、慌てて顎を引く。



「……うん、確かに。どっちかっていうと、ホットドッグって感じ」



同じテイクアウトショップで売られているホットドッグを挙げると、視界の端で塚田くんが小さく吹き出した。



「ははっ、確かに」


「おいおい、親友だろお前。俺にもオシャレさせろや」



ゲンナリした様子で塚田くんを睨む近藤。

背負っているのは、塚田くんや私達のスクールバックとは違って、学校名が刺繍されたリュックだ。



「今日部活あるの? 近藤」



聞くと、彼はがっくり肩を落として頷いた。



「そうなんだよー。タピオカじゃなくてホットドッグでいいから一緒に行きたかった……」


「あちゃー、それは残念。明日、お土産にホットドッグ買って持って来てあげるよ。駅前のセブンのやつ」


「いやセブンのなら俺だっていつでも買えるわ」
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