危ナイ隣人
3年生になっても、いつもの調子で繰り広げられる会話。

その輪の中にいるのに、ふとした瞬間、どこか離れた場所で見ているような気持ちになる。



「御山さんも行くの? タピオカ」


「え……」



左側から低音が降ってきて、顔を上げると声の主は塚田くんだった。


ハッとして、口角をぐいっと持ち上げる。



「うん、せっかくだし」


「そっか。じゃ、俺も行こうかな」


「へ?」



聞き返す間もなく、塚田くんは真帆とくるみに声をかけた。


2人はもちろん了承して、傍では近藤が恨めしそうに塚田くんに詰め寄っている。



結局、帰り道は4人で辿ることになった。





「うーん、やっぱりこれだよ〜」



可愛らしい容器に入ったタピオカミルクティを飲みながら、くるみが表情を綻ばせる。


その隣で、真帆も同じものを飲みながら頷いていた。



「何買ったの?」



右上からひょっこり顔を覗かせた塚田くん。

表情筋を休ませたまま尋ねられて、私は左手に持っているドリンクをパッと掲げた。



「タピオカピーチティ」


「ミルクじゃないんだ」


「うん。ミルクティも好きなんだけどね」
< 211 / 437 >

この作品をシェア

pagetop