危ナイ隣人
「だったらさ、ちょっと無邪気なあの頃を思い出してみない?」



真帆の突拍子のない提案に、私達3人は互いに顔を見合わせた。





「無邪気なあの頃って、こういうことね」



駅前のテイクアウトショップの近くにある100円均一のお店に寄って、買ったのはシャボン玉とフリスビー。

そのまま学校に続く道を引き返して、私達は河川敷へとやってきた。



「最近、やりたい欲がすごかったんだよね。この際だから、みんなに付き合ってもらおうと思って」



紙とビニールのパッケージを開けながら、真帆が淡々と言った。

そんな姿勢だから、ほんとかなと思わなくもないけど、あえて音にすることでもないので黙っておく。


視界の端では、くるみと塚田くんが何やら話し込んで……いや、くるみが塚田くんの顔面観察をしている。ぶれないな。



「……ありがとね」



パッケージを袋に片しながら、感謝の言葉は自然と唇の端から漏れ出た。


顔を上げられなくて芝生に視線を落としていたら、



「ったぁ!」



脳天に衝撃が走った。

って言っても、びっくりしただけで大して痛くはなかったんだけど。



ほぼ反射的に顔を上げると、そこにいる真帆は小さく笑ってて。
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