危ナイ隣人
その笑顔が──あの夜見た、写真の中の姿と重なって、胸の奥が痛くなる。
「いやー、びっくりだよー。取引先からの帰りにたまたま堤防を歩いてたら、茜ちゃんがいるんだもん。嬉しくて、思わず大声出しちゃった」
そうだ……京香さんも、お兄ちゃんのことを知ってるんだ。
「ごめんねー、友達と遊んでたところ邪魔しちゃって」
「い、いえ……」
「放課後に河川敷でシャボン玉かぁ。いいなぁ、青春って感じ」
なんで何も言わないんだろう。
なんで黙ってるんだろう。
あなたのお兄ちゃんと同じ高校で友達だったって、たったそれだけ、簡単なことなのに。
「若いってそれだけで輝いて見えるから不思議だわー。あ、ねぇ、茜ちゃんの学校は──」
「──あの」
京香さんの言葉を遮った声は、自分でも驚くほど強張っていた。
その様子を察知したのか、目を瞬かせた京香さんが不思議そうに私を見ている。
ナオくんは何も言ってくれなかった。
ナオくんにはずっと会えないでいる。
今日ここで、京香さんに会ったのは本当に偶然だと思うけど、ナオくんにかかる橋を向こうから断たれた現状で、頼れるのはこの人だけだ。
「いやー、びっくりだよー。取引先からの帰りにたまたま堤防を歩いてたら、茜ちゃんがいるんだもん。嬉しくて、思わず大声出しちゃった」
そうだ……京香さんも、お兄ちゃんのことを知ってるんだ。
「ごめんねー、友達と遊んでたところ邪魔しちゃって」
「い、いえ……」
「放課後に河川敷でシャボン玉かぁ。いいなぁ、青春って感じ」
なんで何も言わないんだろう。
なんで黙ってるんだろう。
あなたのお兄ちゃんと同じ高校で友達だったって、たったそれだけ、簡単なことなのに。
「若いってそれだけで輝いて見えるから不思議だわー。あ、ねぇ、茜ちゃんの学校は──」
「──あの」
京香さんの言葉を遮った声は、自分でも驚くほど強張っていた。
その様子を察知したのか、目を瞬かせた京香さんが不思議そうに私を見ている。
ナオくんは何も言ってくれなかった。
ナオくんにはずっと会えないでいる。
今日ここで、京香さんに会ったのは本当に偶然だと思うけど、ナオくんにかかる橋を向こうから断たれた現状で、頼れるのはこの人だけだ。