危ナイ隣人
『手厳しいなぁ』



醸し出される近寄るなオーラを跳ね返す勢いで、ケラケラ笑う圭太。


眉間に深いシワを刻んだ直也はそれには応えず、トレイにのせられた定食を食べるスピードを上げた。



『でも、理解出来ないんだよなぁ俺』


『ちょっと圭太……』


『京香も不思議に思うだろ? なんでそんな秀才クンが、あんな人目につきやすいとこでタバコなんか吸ってたワケ?』



無垢な子どもが純粋に疑問を投げかけるように、何の悪意も感じさせないトーンで、圭太は爆弾を投下した。


瞬間、黙々と動かされていた直也の手がぴたりと動きを止めて。



──ガタン!


周りからの視線を集めるくらいには勢いよく立ち上がった直也が、射るように向かいに座る圭太を睨みつけたから、私、もう怖くなっちゃって。


だけど圭太は顔色一つ変えずに相変わらずニコニコニッコニコしてて……あの能天気な顔ったらね、ほんと。

本気で焦った分、今思い出しても腹立つわー。


って、ごめんね妹の茜ちゃんにこんなこと言って。

でもほら、愛故にって言うか。

仲良かったからこその憎まれ口っていうかさ。


あ、わかってくれてる? よかった。
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