危ナイ隣人
3年の教室の窓から煽るような声をかけられて、廊下にいた直也の視線はついに圭太に向けられたわ。


ヒヤッとしたけど、でも、それは私が思ってたものとは違った。



『自由も何もないようなつまんねーとこで、仲良しごっこなんかする意味ねーだろ』



嘲笑うように鋭い言葉を吐き捨てた直也は、冷ややかな目で圭太を一瞥してから去っていった。



その言葉を聞いた圭太は何も言わなくてさ、さすがに心配になって顔をのぞきこんだのね。


そしたらあいつ、笑ってたの。



『な……何笑ってんの』


『いや、別に』


『いや……別にって顔してないじゃん』



私が食い下がると、圭太は少しだけ首を傾げて。



『俺、やっぱあいつのことほっとけないなーって思っただけ』



何がどういう理由でそこに行き着いたのか、私にはやっぱりわかんなかった。


あれだけ拒絶されてんだからほっとけばいいのにって、ほんとにずっと、ずーっと思ってた。





日中もセーターが手放せなくなるくらい冷え始めた頃、学年全体の受験モードは更に加速して、クラスのほとんどが学校終わりに予備校に通う毎日を送ってた。


茜ちゃんも知ってるかな? 学校の最寄駅近くにあった予備校に通ってたでしょ、圭太。

そこね、私含めてサッカー部何人かで一緒に通ってたのよ。
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