危ナイ隣人
その日は日曜日だったから私も圭太も当然私服で、暗くなるまで自習室にこもって勉強してて。

ちょうど同じタイミングで休憩を挟んだ時、夜ご飯を食べに出てたサッカー部の子と顔を合わせたの。



『お疲れ。今からメシか?』


『うん、そのつもり』


『休憩のタイミング揃えるとか、お前らほんと仲良いよなぁ』


『揃えてるつもりないんだけどね』



休憩スペースで少しの間談笑して、ふと思い出したようにその子が言った。



『そういや、近くのコンビニ行くなら気つけろよ』


『気を付けろって、どうして?』


『いや……ガラの悪そうなやつらが軽く言い争ってたからさ』



その子の危惧は杞憂に思えた。


だって、そんな諍いなんて私達には関係ないんだもん。


ドンパチしてたって無視すりゃいいんだもん。


そう思ってたのに無視できなかったのはさ、その中に直也がいたからなんだよね。



寒空の下、私達がコンビニに向かってると、何やら路地から怒鳴り声が聞こえてね。


反射的に視線を向けちゃったらさ、街頭に照らされた数人の中に直也の姿を見つけてしまったの。

どうやら2組のグループが衝突してるようで、その傍で直也は心底面倒くさそうな顔をしてた。


コンビニに行くのなんかよせばよかったと思っても後の祭りで、圭太の目はしっかりと直也を捉えていて。
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