危ナイ隣人
『お前のいるところに、俺も行く』



圭太がいて、直也がいる。

誰にも強制なんてされない未来予想図。


それは、直也自身で選択した、希望に満ちた未来だった。



『……そうか。うん……そっか』



目を見開いていた圭太だったけど、すぐに穏やかな表情になって、直也の決意を噛み締めるように飲み込んだ。



『うちの大学、お前んちからだと通うのキツそうだけど……家出られるのか?』


『さぁな。でも、文句一つ言えないくらいの結果出して、ぜってー認めさせてやるから心配すんな』


『ははっ、頼もしいじゃん』



直也の頭上に、圭太の手が乗る。


そして、ぐりぐりと無造作に撫で繰り回された。



『待ってるぞ』



嬉しそうに圭太が笑うと、心なしか直也の表情筋も緩んだように見えた。


そんな2人の姿を見て、心の底から嬉しくて……そして気付く。



『って、ちょっと直也! 私は!? 圭太と大学違うんですけど!』



気付かない方が幸せだったかもしれないわーコレ。


直也が圭太のところに行ったって、私はそこにはいないんだもの。



『あー……京香のいるところも受けると思う、多分。滑り止めで』


『なっ! あんた、私が……いいや、世間一般が本命にする大学を滑り止め扱いにする!?』


『まぁまぁ。京香は1人暮らしになるし、これからもみんな一緒ってわけじゃないけど、いつでも集まればいいじゃん』
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